『養生訣』巻上02

【巻上二表】

り。(ゆえ)に人の心の善悪邪正(よきあしき)智愚(かしこきおろかなる)勇怯(つよきよわき)(ひとし)からざるも、悉皆(ことごとくみな)陰陽(いんやう)調適(ととのう)(ととのわ)ざるに(よつ)て、骨肉血液(からだ)(さまざま)(わか)れ、偏倚(かたずみ)たる(ところ)あるに(つれ)て、その(たがひ)あるなり。(ゆえ)(いま)人倫(ひとたる)(みち)(あきらか)にし、六(げい)淵底(ごくい)(きはめ)んと(おもふ)にも、(まづ)その(はじめ)摂生(やうじやう)(みち)(よる)ときには、事半(ほねをりなかば)にして功倍(てぎはばい)し、一を(きき)て十を(しる)の才をも(はつ)すべし。かかれば、

【巻上二裏】

一挙(ひとつのこと)にて心術(こころもち)病苦(やまひ)(ふたつ)ながら治得(なおしう)べきなり。(しかる)衆人(せけんのひと)此理(このり)(しら)ず。生得(うまれえ)たる賢恵(かしこきと)巧拙(おろかなる)(うまれつき)は、(かゆ)べからざるものとのみ(おも)ひ、学問(がくもん)伎芸(てわざ)凡百(さまざま)のことも、(みな)(いたづら)無用(むだ)(ところ)にその身力(ちから)(つくし)て、生涯(しやうかひ)覚悟(さとる)ことなきは、天性(せひ)自然(しぜん)なるものを観得(みつけう)ること(なら)ざるによればなり。(もと)より父母に受得(うけえ)たる稟賦(うまれつき)(しだひ)

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